よき

先日、本上田邸御用達の大工さんが、手斧の柄を直してくれました。
その時の会話。

大工さん「よきは?」
トモコ「…よ、よき??」
大「こないだ不具合ある言ってなかったっけ?」
トモ「なんのことでしょう…あ、手斧(ておの)?」
大「手斧言うんかい。」
トモ「ひょっとして、手斧の事をよきって言うんですか?!!」

という会話をしまして。
よき=斧というのを確認したのは初めてでした!!
私は美術畑にずっといるのですが、昔のデザインなどもこよなく愛すなかで、江戸時代の文様である「かまわぬ」というのは「鎌と輪とぬ」からできている図柄で見てすぐ分かるけど、「よきこときく」という語呂合わせの文様がずっと腑に落ちなくて、理解出来なかったのが、日常会話に出てきたことで腑に落ちたわけです。「よきこときく」文様は「斧と琴と菊」で描かれてたんだぁ!
30年近くモヤっとしてた事がスッキリする瞬間…。

豆知識:江戸時代、人気ある歌舞伎役者さんは、自分の個性をデザインした役者紋を作って人気を得ていました。7代目市川團十郎が「かまわぬ」という江戸っ子の心意気を語呂合わせで図柄にしたものが大流行りして、同時期に活躍していた3代目尾上菊五郎が愛用した図柄が「斧琴菊」文様だそうです。「良きことを聞く」という縁起担ぎと自分の名前の一文字を入れたとか。

よき(斧)という言い方は、大工道具では一般的なのかもしれませんが、日常触れることのない言葉でした。
いやはや知らないことばかり。
手斧は器用に直していただき、薪割りもスムーズになりました。

by tomoko

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